いらっしゃいませ。
今年もよろしくお願いします。
初詣は、どちらへいらっしゃいましたか。
私は先ほど湯島の天神様にお詣りしてまいりました。
受験を控えているわけではございませんが、あの近くに所用がございまして、ついでと言っちゃバチ当たりですが初詣をしてまいりました。
湯島天神(湯島神社)にお詣りしたのは2006年以来の9年ぶりになります。
湯島天神と言えば梅です。
■第043号・2015/1/13 (火)
■第021号・2006/2/13 (月)
「梅は咲いたか?」曽根崎心中
【第021号・2006/2/13 (月) から】
居酒屋なんかをやっていますと、よきにつけ悪しきにつけ、季節の先取りが習性となっておりまして、早くも品書きには筍や春の山菜が並んでおります。
筍は千葉大多喜からおくっていただいています。早くは12月から採れるんですね。山菜のほうは不本意ながら、栽培もの。4月に入ったら、天然ものを送ってもらったり、時には山へ採りに行くこともあるのですが。香りも味も、まったくちがいますね、天然のものは。タラの芽、コゴミ、コシアブラ、、。待ち遠しいですね。早咲きの梅のつぼみが まだ固いというのに。気が早いものです。
♪梅は咲いたか/ 桜はまだかいな /柳ゃなよなよ風次第 / 山吹ゃ浮気で 色ばっかり/ しょんがいな♪(端唄)
梅の花といえば、私は近松の「曽根崎心中」を連想してしまうのです。どういう関わりがあるのか、とお尋ねですか。
良くぞ聞いてくださいました。お話しましょう。例によって、端折りますからね。お前の”はなし”は長すぎる、と近ごろ言われるようになってきましたので。
時は元禄16年、4月の7日、大阪は曽根崎、露天神社(つゆてんじんじゃ)の森の中。事件が起こります。
堂島新地天満屋の遊女「お初」と醤油問屋、内本町平野屋の手代「徳兵衛」。添い遂げられぬ仲、二人の心中です。
この事件を題材に脚色したのが近松門左衛門(1653?1724)の浄瑠璃、「曽根崎心中」。事件から ひと月後の5月7日、竹本座で上演されるや、大評判。庶民を主人公とした、「世話物」の始まりでもありました。
では、「お初、徳兵衛」道行の名調子。音読してください。 プリーズ、リピート アフター ミー。
死にに行く身をたとふれば、
あだしが原の道の霜
一足づつに消えて行く
夢の夢こそあはれなれ
あれ数ふれば暁の
七つの時が六つ鳴りて
残る一つが今生(こんじょう)の
鐘の響きの聞き納め
寂滅為楽(じゃくめつ いらく)と響くなりーー
どこが梅と関わりがあるのだとおっしゃるのですか。種明かしとまいりましょう。
露と散る涙に袖は朽ちにけり 都のことを思い出づれば
この故事にちなんで名付けられた「露天神社」が「曽根崎心中」の現場。よって 別名「お初神社」「お初天神」。むしろこちらの名のほうが知られているようです。
まとめますよ。梅といえば、菅公。露天神社は、菅公にゆかりあり。そこは、曽根崎心中にも所縁ありと。それだけのことでした。こじつけです、すみません。
女が先か男が先か
先日の日曜( 2006/2/12)、湯島天神(湯島神社)の梅もまだ蕾でした。
「切れるの別れるのって、そんな事は、芸者の時に云うものよ。……私にゃ死ねと云って下さい」
『湯島の白梅』の有名な科白(せりふ)ですが、原作とされる、泉鏡花の『婦系図(おんなけいず)』(明治40年新聞連載)にはこのシーンはありません。
柳川春葉の脚色で新富座で上演されて、このシーンが評判になった後、鏡花は大正3年『湯島の境内』という作品で、お蔦(おつた)と早瀬の別れの場面を描いています。
早瀬の名は主税(ちから)でしたね。歌謡曲にもあります。
「♪湯島通れば 想い出す お蔦、主税の 心意気 知るや白梅 玉垣に残る二人の 影法師~ 」(佐伯孝夫作詞「湯島の白梅」)
『湯島の白梅』は「お蔦、主税」 の物語ですね。先ほどの「曽根崎心中」は「お初、徳兵衛」の道行。「お夏、清十郎」は井原西鶴の「好色五人女」の第一話「姿姫路清十郎物語」。から。日本の物語では、女の名が先です。
西洋では
「アダムとイヴ」(旧約聖書)、「シーザーとクレオパトラ」(バーナード・ショウ)、「ロミオとジュリエット」(シェイクスピア)、「ポギーとベス」(デゥポーズ・ヘイウオード→G.ガーシュイン)男が先ですよね。
逆のような気がするのですが。どうでもいい事なんですけど。 次回へ続きます
つづく
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酔中歌(あとがき)
( 2015/1/13 (火) )
■今回は2006/2/13 (月) 第021号・から再録しました。
■「梅はさいたか」「女が先か男が先か」近日中に続編をお届けします。(・・;)
■「初天神」は1月25日です。
天神様菅原道真の誕生日が3月25日で、命日が6月25日だそうでして、江戸の昔から毎月25日を縁日としている神社(天満宮・天神社)が多いようです。
■「鶯替え(うそかえ)」神事は初天神あるいはその前後に行われる行事です。旧年中についた「ウソ」を天神様におねがいして「まこと」に替えていただきます。(・・;)
■落語の「初天神」
元は上方落語でしたが、東京でも演じられることが多い人気演目です。
父親が息子「金坊」をつれて天満宮の初縁日に赴く噺。
「あれ買って、、」とせがむ金坊・・・最後には凧を買ってあげるのですが、父親が凧揚げに夢中になってしまい、
「こんな事なら、親父なんて連れてくるんじゃなかった・・」と金坊。
■角田光代の「曾根崎心中」は読みやすくていいですね。